11月の薬膳食材②

美味しくて、体にもいい食材、鮭

さて、美味しいだけじゃなく、体にとってもいい食材である鮭ですが
おススメの調理法を2つご紹介したいと思います。

前回もお伝えしたように、捨てるところのない食材なので
色々な調理法があるのですが、今回お勧めしたい鮭の調理法の1つは、お鍋です。

だんだんと、お鍋を食べたい季節になってきましたね。
寒い時期にいただく鮭鍋には、特に味噌仕立てがおすすめです。
お味噌にも薬膳的な効果があり、それは、お腹を温め(お腹の冷える方に◎)、解毒作用があり(二日酔い、脂肪肝などに◎)、降気作用がある(しゃっくりや吐き気などに◎)とされています。

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11月の薬膳食材①

11月の薬膳食材①

まさにこれからが旬!の薬膳食、鮭のご紹介

はやいもので、もう11月。
今回は、これからがまさに旬を迎える食材である “鮭” についてです。

10月初旬から中旬にかけ、トロント近郊では鮭の遡上がピークを迎え、見に行く人たちもたくさんいます。
鮭が産卵のために命がけで川の流れに逆らって登ろうとする姿は、本当に感動的ですよね。

捨てるところがないと言われる魚

日本人が最も買う魚介類は、鮭。
そして、世界中で獲れる鮭の4割は日本人が消費しているそうです。

そんな日本人に愛される鮭は、捨てるところがないと言われる食材の一つ。
筋子やいくらにはじまり、頭は三平汁やあら煮に、頭の軟骨は氷頭とよばれ、氷頭なますとして食されます。
皮は湯引きして酢の物に、オスの背わた(腎臓)もメフンという塩辛となり、珍味として人気があるようです。
鮭の缶詰なんかも、お魚の骨までおいしく食べられる一品。
なおかつ、使いやすく、とっても便利ですよね。

アスタキサンチンの力

鮭の鮮やかな色、サーモンピンクとよばれるこの天然の赤い色素は
“アスタキサンチン”
といいます。

鮭は、 川を登る際、強い紫外線を浴びるので活性酸素が多く発生しますが、この活性酸素から体を守るのが、抗酸化力が非常に高いアスタキサンチンなのです。

アスタキサンチンは、万病の元といわれる活性酸素を除去して、免疫力を高めてくれる働きがあります。


江戸時代の薬物書「本朝食鑑」には、すでに鮭についての薬膳的な記述があります。

「胃腸を温め、気を補って筋骨を強化し、生殖能力を高める」

確かに鮭は、消化器系を丈夫にし、体を元気にするので、食欲不振、腹部の冷え、冷え性、疲れ、貧血、めまい、下痢、血栓予防、肥満の改善、生活習慣予防などに効果があるとされています。
また、肉よりも低カロリーで高タンパクなので、ダイエット中の方や、アンチエイジングにもおすすめですね。

では、そんな捨てるところがない鮭の美味しい食べ方について、次回はお伝えしたいと思います。
11月の食材②に続く↪︎

Cover Photo by Drew Farwell on Unsplash

10月の薬膳食材②

10月の薬膳食材②

種まで薬になるカボチャ

カボチャの実そのものの栄養価が高く、食薬であることは、前回お伝えした通りですが、なんと、種にも貴重な栄養素が含まれていること、ご存じでしょうか。

カボチャの種は、通常の調理では捨てられてしまうことも多いですし、ハロウィンの時によく見かけるジャックオーランタンを作るときも、種が不要なので捨ててしまう方は多いと思います。

ですが、漢方では、“南瓜子”といって、むくみをとったり、寄生虫を退治したり、母乳を出すサポートなどに使われたりします。

表面の油分が腸を潤すので、便秘改善の助けにもなります。リノール酸が多く含まれ、動脈硬化によいとされ、さらに、炒った種は、前立腺の病気の予防に効果があるといわれています。

それでは、そのカボチャの種を使った簡単スナックレシピをご紹介します。
とっても簡単なので、カボチャ料理を作った時に出た種を使って、ぜひ試してみてください!

【簡単薬膳レシピ】カボチャの種がスナックに!

  1. 種を洗って実を取り除き、ペーパータオルなどで水気をきり、ボウルにいれる。
  2. 塩こしょう、サラダオイルを軽く振りかけ、混ぜる。
  3. 天板に広げ、400℉(200℃)に温めたオーブンで15分程度ローストしたらできあがり(金色&クリスピーになる程度)。

※ 塩こしょうのかわりに、シナモンやメープルシロップなどで甘くしても◎。

秋は夏の疲れを回復し、これから来る寒い冬への備えとして、体を整えていく時期です。

食欲の秋だからこそ、夏に疲れた胃腸を回復させるこの時に、実も種も栄養たっぷりのカボチャ/スクワッシュを使った献立を、一品加えてみてはいかがでしょうか?

10月の薬膳食材①

10月の薬膳食材①

秋の薬膳食材 カボチャのお話

トロントも急に涼しくなり、すっかり秋らしくなってきました。

サンクスギビングやハロウィンがある10月は、町中でカボチャをみかけますが、今回はそのカボチャのお話です。

カボチャは、トロントではスクワッシュ、と呼ばれていて、ズッキーニを指すサマースクワッシュと、カボチャやバターナッツスクワッシュなどのウインタースクワッシュがあります。

ウインタースクワッシュは、夏の終わり頃から収穫され、2〜3ヶ月保存され、より甘みを増して、10月頃からちょうどいい食べ頃になります。

私たち日本人に一番なじみのあるカボチャ。
こちらで見かける日本のカボチャにいちばん近いのが、
butter”cup” squash
で、スーパーでも手に入ります。
よく似た名前の
butter”nut” squash
は、ひょうたん型のもの。こちらも、よく見かけますね。

冬至にカボチャを食べると、風邪をひかない

これは、カボチャが長期間保存できる保存食であること。そして、夏の強い太陽やエネルギーを浴びて、栄養をたっぷり蓄えたカボチャを冬に食べる事で健康になると考えた、先人の知恵から言われているようです。

今では栄養学的に、カボチャに含まれるビタミンAが粘膜を保護し、抵抗力をつけ、風邪の予防に効果があるといわれていますので、先人の知恵が正しかったことが証明されたと言えますよね。

栄養学においても、ビタミンや繊維質が豊富なカボチャですが、東洋医学でも、体を温め、消化機能を助け、胃腸を丈夫にし、滋養強壮にとても効果のある食材です。

先述の通り、粘膜を保護する働きもあり、のどや鼻の粘膜の回復に効果があります。血管壁や皮膚を強くする効果もあり、動脈硬化や美容にもうれしい食薬です。

ただ、ストレスなど溜めやすい方は、補う力が強いカボチャを食べ過ぎると、胃腸に溜まり、胃が重く感じたりするので、気を巡らせる効果があるシナモンやターメリックなどのスパイスと一緒に調理するのがおすすめ。

気血を巡らせるタマネギを炒めて、それをカボチャと一緒に茹で、ブレンダーなどでスープにするのもいいですね。
次回は、このカボチャの種を使ったスナックの作り方をご紹介します。

お家で、薬膳

お家で、薬膳

「家で薬膳」というと、ハードルが高い雰囲気があったりする、という方が多いかもしれませんが、実は簡単にできるものです。

中医学の考え方では、本来、薬膳というのは普段の食事で健康になろうというものなんです。
病気になってから薬で治そう、ではなくて、普段から食事に気をつけて、身体を健康にして、病気にならないような体を作るっていうのが目的なんですね。

ですので、そういったところから薬膳の考え方が生まれたとわかれば、普段の食事が、なんでも薬膳料理になり得る、と柔らかく考えることができます。
朝鮮人参を使わないといけないとか、苦い木の実や植物の根っこなどを入れないといけないとか、難しく考えがちですが、そうじゃない。
生姜やネギを使って身体を温めたり、夏はスイカで体を冷やしたり、ニガウリを食べて熱を冷ましたり。身の回りに普通にあるもので、充分なんです。

旬のものじゃない食材だって、薬膳料理にすることは簡単です。
例えば、お豆腐って、一年中食べられるものですよね。ただ、お豆腐は体を冷やすものなので、季節によって食べ方を工夫すると、たちまち薬膳料理になります。
冬に冷奴は、あまり食べない方がいいですし、湯豆腐にして、少し生姜を加えて。春は気を巡らせるために、紫蘇なんかを加えたり、夏は冷奴。

そういう季節や体調に合わせた一工夫をして、様々なバランスを考え、それに合ったものを調理すると、薬膳料理になるということなんです。

季節の野菜だけでも、充分薬膳料理になります。
季節の野菜って、やっぱりその時期、その地域に生きているものが摂るべきものなんですよね。トマトや胡瓜等の夏野菜は体を冷やすものが多いですし、南瓜などの冬野菜は体を温めるもの。それらを上手く取り入れるだけでも、薬膳料理になります。

ただ、とはいえ、夏だからと言って夏野菜ばかり食べると、体が冷えてしまいますので、そこにほんの少しだけ、体を温める食材を入れてバランスをとることが大切です。

バランスをとるって、どういうこと?

湿気を身体に溜めやすい人(Aさん)と、湿気を身体から排出しやすく、乾燥しやすい人(Bさん)を、例としてお話してみます。

日本は湿気が多い国です。
特に、夏の湿度は高いため、そんな時には、水分を体から取り除きながら、体の熱も取らないといけないという事になりますね。

ただ、この湿気ですが、体に溜まりやすいAさんの場合、むくみやすいということにもなりますし、Aさん自身は冬でも湿気を溜めやすいので、乾燥しがちな冬でも、湿気を体から取り除くようにしておいた方がいい、ということを、Aさんは知っておいた方がよいでしょう。

一方で、乾燥しやすいBさんは、湿度の高い夏でも、乾燥しやすいのです。
だから、あまり湿気を取り除くものを摂りすぎると、より一層乾燥してしまう、ということになるので、夏であっても、そういったものをはあまり摂らない方がいいでしょう。

例えば、この2人にスイカを勧める時。
夏ならではの果物で、非常に水分が多い果物なので、湿気が溜まりがちな
Aさんよりは、乾燥しがちなBさんに、どんどん食べてください、って勧めちゃう、という感じですね。
更に言うなら、食べ過ぎると体が冷えすぎてしまうので、常温で食べたらいいよ、とか。

長くなりましたが、つまりは、全て、その人の体質や体調に合わせて、考えて食べることが、薬膳になりうる、ということなのです。

お肉も野菜も全部。その組み合わせや食べ方、それぞれ効能が異なり、人によっても異なる作用を持つんですね。

古くから根付く、薬膳の基本的な考え方

日本には、昔から四季があり、季節ごとの慣習やイベントがあったりして、食材も豊富です。ですので、日本人には、薬膳の心得みたいなものが、もともと生活の中に息づいていて、なんとなく意識の中にそれが存在しています。
例えば、ひな祭りでは、蛤のお吸い物やちらし寿司を戴きますね。蛤のお吸い物やちらし寿司に含まれている栄養素の中には、春に滞りがちな気を巡らせるものが多く含まれているんです。
夏にある、土用の丑の日も、鰻が血液をサラサラにするという役割があります。

その意味を、きちんとわかっていなくても、既に生活に入り込んでいて、何となく旬のもの、身体にいいものを食べよう、みたいな感覚がある。
まずはそこからでいいと思うんです。
ちょっとしたことだけでも薬膳になると思えば、気負わずにやってみよう、という気持ちになりますよね。

簡単に自宅でもできる薬膳料理を、これから、いくつかご紹介していきたいと思います。
See you soon!

漢方と薬膳のちがい

漢方と薬膳のちがい

お客さまからよく聞かれる質問の一つで、漢方と薬膳ってどう違うの?
というものがあります。
薬膳で症状がよくなるの?
薬膳って自分の家で作れるの?
朝鮮人参などの漢方薬に使う生薬を入れなければならないの?

これらの答え方の一つとして、極端に言えば、漢方は薬、薬膳は食事といえるでしょう。

語源をたどれば、漢方とは、もともと漢(中国)からきた方(治療法)という意味で、中国から伝わった医学という意味を持ちます。
江戸時代、日本に西洋医学が伝わり、蘭方と呼ばれました。
それと区別するために、漢方(中国(漢)由来の漢方)と呼ぶようになったんだそう。鍼灸等も漢方の一部でした。
現在みなさんの思い浮かべる“漢方”は、漢方薬の意味だと思いますが、
“漢方薬”は、中医学をベースに日本で独自に発展を遂げたものなのです。

“薬膳”という言葉

“膳”という言葉は、料理という意味です。
薬膳というくらいなので、朝鮮人参やクコの実など、生薬を用いた体に良さそうな料理といった感じのものを思い浮かべるのではないでしょうか。

生姜(しょうが)、しそ、青ネギ、大根、とうふ、紅花、薄荷(はっか)、はちみつ、酢・・・これらも、実は立派な薬膳です。
生姜は体を温めたり、吐き気を和らげたり、しそも消化を促進し、殺菌作用があります。
青ネギも体を温めますし、大根は喉や体に潤いを与えたり、消化を促進したりする作用があります。豆腐は陰を補い、体の熱を取り、潤いを与え、紅花は、血流をよくする、薄荷も熱をとり、解毒の作用がある、など。
薬膳は、すべての食材に薬効効果があると考え、季節や食べる人の体調に合わせて、食材や、生薬を組み合わせた料理のことを指します。
前回までにお話した、五味、五性にもつながってきますね。

昔のおばあちゃんの知恵袋のような、大根、ネギ、きんかんは喉にいいとか、吐き気には梅干しや生姜とか、いわゆる民間薬と呼ばれるようなものは、薬膳の一つだと言っていいでしょう。
胃腸が弱っている時におかゆをいただいたり、夏にスイカを食べて体の熱を取ったり、冷奴は体を冷やすので、ネギや生姜などの体を温める薬味でバランスをとったり、元気を出したい時にニンニクや、卵を食べたり、私たちの生活の中のそこらじゅうに、すでに薬膳は馴染んでいるのです。

つまり、必ずしも朝鮮人参やなつめなどをいれなければいけないわけではなく、スーパーで手に入る食材を使ってでも、薬膳は簡単に作ることができます。

体調の悪い時は、改善できるようにサポートし、体調のいい時も予防やエネルギー補給に薬膳で体調、体質をととのえられるということですね。

漢方とは?

一方で、食事やライフスタイルなどで症状が思うように改善されない場合などは、生薬をいくつか組み合わせた漢方薬を使います。
漢方薬の一例としては、葛根湯、銀翹散、桂枝湯、麻黄湯という漢方薬があり、全て風邪の時に使う漢方薬です。
これらは代表的なもので、実際はもっとあります。

ざーーーーっくり言うと・・・
例えば葛根湯。
これは、風邪の初期でも、ぞくっとする寒気、水っぱな、関節痛、頭痛などの症状に効果的です。
銀翹散は、喉の痛み、頭痛、発熱、など炎症系、熱の症状に使います。
麻黄湯は葛根湯よりもさらに強い発汗作用があり、咳止めの効果もあります。熱を放出して風邪を治すものです。
麻黄湯が熱を出させるのに対し、桂枝湯は、すでに汗がじわじわ出ている、比較的軽症の風邪に使います。
※これはほんの症状の一例で、実際に購入する場合は、専門家に相談してください。体力の程度や、体質などによっても異なってくる場合があります。

さらに、これに加え、慢性的になって、胃腸に問題がでてきたらまた違う漢方、咳の種類、痰の種類、鼻水のタイプなどによっても薬が変わってきます。

あなたは、あなたが食べたものでつくられる

薬食同源、医食同源という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、英語でも、「You are what you eat」という言葉があります。
直訳すると、「あなたは、あなたが食べたものでつくられる」、そんな感じでしょうか。
普段の食べ物が明日の私たちの体を作り、食べるものによってあなたの健康が左右される、ライフスタイル、人となりが見える、ということだと思います。

医食同源、You are what you eat、食べ物が健康を左右するという考え方は、世界共通のものであるようです。
そして私たちもそれを実感しているはずです。

炭水化物、タンパク質、脂質など、バランスのよい食事をとるということは、
みなさんすでに心がけていらっしゃると思いますが、それにプラスして、
自分の体質や体調と食べ物のバランス、季節と体調と食べ物のバランス、
そういったことを考えながら食事をすると、それはもう薬膳です。
薬膳は、毎日の食事の延長。そして、その漢方薬は、またその延長・・・。

自分の体の基礎を作る食事には薬膳をうまく取り入れ、メンテナンスには漢方を、といった感じで、上手に使い分けていきながら健康を保っていけるといいですね!

薬膳と陰陽五行説②

薬膳と陰陽五行説②

こんにちは。トロントで中医師、鍼灸師をしている、Yukiです。

さて今回は、前回に続いて、薬膳と陰陽五行説のお話を、
具体例を交えながら、わかりやすくおつたえします。

前回お伝えした「五行説」の木・火・土・金・水

こちらに、季節、色、味覚、臓器、感情、体の組織、器官などをあてはめ、
その時期に何を体に採りいれるのがいいのか、を考えていくと、
自然と薬膳につながっていく、というお話です。

五行説によると、春は肝に負担がかかりやすい季節。

「肝」は、解毒やストレスマネージメントの臓器です。
その「肝」に負担がかかりやすい春の季節というのは、
自律神経のバランスを崩しやすい時期でもあります。

そんな時に五行説で春の味覚に当てはまる酸っぱいものを食べると
全身の「気血」の流れがスムーズになり、元気が出てきます。

春の色は「青(緑)」。

春の薬膳には、木の芽や茎などが多いのも特徴です。
キャベツ、わらび、ふき、菜の花(茎)などの青い食べ物は
解毒を促進する効果があり、ぜひとも春に食べたい食材です。

ただし、一つの食材を食べ過ぎないように!
全ての味覚をバランスよくいただくことが、とっても大切です。

季節や体調に合わせて、春は緑のもの、酸っぱいものを少し多く摂るようにしたりすることが、簡単に続けられる五行説に沿った薬膳の第一歩ですね。

私と私のパートナーであるMegumiの著書であるレシピ集
「12ヶ月のおもてなし」
3月の献立には、5色豆サラダというレシピをご紹介しています。
5色を取り入れることで、バランスよく五臓を労れる、とっても簡単、
かつ、美味しいレシピです。

五行説は深くておもしろい!

となり同士、向かい同士、右回りに変化していく相生関係、
向かい合わせで抑制し合う相克関係(詳しくはまた後々)など、、、

キリがありませんが、またそれは次の機会に。
次回は「漢方と薬膳」の違い、についてお伝えしますね。
See you soon!

薬膳と陰陽五行説①

薬膳と陰陽五行説①

こんにちは。
トロントで中医師、鍼灸師をしている、Yukiです。

今日は、中医学のお話をする上で欠かせない、陰陽五行説のお話です。
木、火、土、金、水
この字を見て、何を思い浮かべましたか?

まずは、漢字そのままのWood, Fire, Earth, Metal, and Waterですよね。
または、木曜日、火曜日、土曜日・・・?
それとも、木星、火星、金星・・・?

陰陽五行説とは、中国の春秋戦国時代に生まれた、陰陽説と五行説が
結びついた思想です。

最初の記録は、紀元前400年前後になるそうですが、
紀元前1000年前後に成立したと言われる陰陽説とくっついて、
その後、宋の時代(960年頃 〜)に医学に取り入れられ始めたそうです。

陰陽説って、なぁに?

陰陽説とは、世の中の全ての物事を陰と陽に分ける考え方です。
二つは相対的で、一つでは成り立たず、二つが対立し、依存し合って
存在している、という思想です。

例としては、昼(陽)と夜(陰)、動(陽)と静(陰)などですね。

その、お互いに存在しなければ成り立たないという考え方に、
中医学や薬膳の世界では、季節や食べ物の性質(温める性質、冷やす性質)
体質や臓器など、様々な事象をあてはめて考えているのです。

五行説って、なぁに?

三省堂の大辞林第三版によると、
「中国古来の世界観で、木・火・土・金・水の五つの要素によって、自然現象、社会現象を解釈する説」
とあります。

また、小学館のデジタル大辞泉では、次のように説明されています。
「自然も人間・社会も木・火・土・金・水の五つの元素の一定の循環法則に従って変化するという説」

つまり、五つの元素は全て、お互いに影響し合っている、という考え方ですね。

東洋医学では、この五つの元素に、季節、色、臓器、器官、感情、味覚などを
あてはめて、陰陽説と合わせて使われます。

十二支、暦、四柱推命占い、桃の節句や端午の節句、
贈り物などを結ぶ水引、土用のうなぎ・・・
これらはすべて、実は、陰陽五行説の考え方に基づいたものなのです。

聖徳太子の制定した十七条の憲法、冠位十二階も、陰陽五行思想が
大きく反映されているとされます。

こんな風に聞くと、私たちの文化や生活って、
陰陽五行説と深い関係にあるんだなぁと思いますね。

東洋医学も、陰陽五行説の考え方が大きく反映されており、
東洋医学思想に基づいた食事である薬膳もまた同じです。
次回は、薬膳の考え方を、具体例と一緒に、わかりやすくお伝えしていきます。
See you soon!