漢方と薬膳のちがい

お客さまからよく聞かれる質問の一つで、漢方と薬膳ってどう違うの?
というものがあります。
薬膳で症状がよくなるの?
薬膳って自分の家で作れるの?
朝鮮人参などの漢方薬に使う生薬を入れなければならないの?

これらの答え方の一つとして、極端に言えば、漢方は薬、薬膳は食事といえるでしょう。

語源をたどれば、漢方とは、もともと漢(中国)からきた方(治療法)という意味で、中国から伝わった医学という意味を持ちます。
江戸時代、日本に西洋医学が伝わり、蘭方と呼ばれました。
それと区別するために、漢方(中国(漢)由来の漢方)と呼ぶようになったんだそう。鍼灸等も漢方の一部でした。
現在みなさんの思い浮かべる“漢方”は、漢方薬の意味だと思いますが、
“漢方薬”は、中医学をベースに日本で独自に発展を遂げたものなのです。

“薬膳”という言葉

“膳”という言葉は、料理という意味です。
薬膳というくらいなので、朝鮮人参やクコの実など、生薬を用いた体に良さそうな料理といった感じのものを思い浮かべるのではないでしょうか。

生姜(しょうが)、しそ、青ネギ、大根、とうふ、紅花、薄荷(はっか)、はちみつ、酢・・・これらも、実は立派な薬膳です。
生姜は体を温めたり、吐き気を和らげたり、しそも消化を促進し、殺菌作用があります。
青ネギも体を温めますし、大根は喉や体に潤いを与えたり、消化を促進したりする作用があります。豆腐は陰を補い、体の熱を取り、潤いを与え、紅花は、血流をよくする、薄荷も熱をとり、解毒の作用がある、など。
薬膳は、すべての食材に薬効効果があると考え、季節や食べる人の体調に合わせて、食材や、生薬を組み合わせた料理のことを指します。
前回までにお話した、五味、五性にもつながってきますね。

昔のおばあちゃんの知恵袋のような、大根、ネギ、きんかんは喉にいいとか、吐き気には梅干しや生姜とか、いわゆる民間薬と呼ばれるようなものは、薬膳の一つだと言っていいでしょう。
胃腸が弱っている時におかゆをいただいたり、夏にスイカを食べて体の熱を取ったり、冷奴は体を冷やすので、ネギや生姜などの体を温める薬味でバランスをとったり、元気を出したい時にニンニクや、卵を食べたり、私たちの生活の中のそこらじゅうに、すでに薬膳は馴染んでいるのです。

つまり、必ずしも朝鮮人参やなつめなどをいれなければいけないわけではなく、スーパーで手に入る食材を使ってでも、薬膳は簡単に作ることができます。

体調の悪い時は、改善できるようにサポートし、体調のいい時も予防やエネルギー補給に薬膳で体調、体質をととのえられるということですね。

漢方とは?

一方で、食事やライフスタイルなどで症状が思うように改善されない場合などは、生薬をいくつか組み合わせた漢方薬を使います。
漢方薬の一例としては、葛根湯、銀翹散、桂枝湯、麻黄湯という漢方薬があり、全て風邪の時に使う漢方薬です。
これらは代表的なもので、実際はもっとあります。

ざーーーーっくり言うと・・・
例えば葛根湯。
これは、風邪の初期でも、ぞくっとする寒気、水っぱな、関節痛、頭痛などの症状に効果的です。
銀翹散は、喉の痛み、頭痛、発熱、など炎症系、熱の症状に使います。
麻黄湯は葛根湯よりもさらに強い発汗作用があり、咳止めの効果もあります。熱を放出して風邪を治すものです。
麻黄湯が熱を出させるのに対し、桂枝湯は、すでに汗がじわじわ出ている、比較的軽症の風邪に使います。
※これはほんの症状の一例で、実際に購入する場合は、専門家に相談してください。体力の程度や、体質などによっても異なってくる場合があります。

さらに、これに加え、慢性的になって、胃腸に問題がでてきたらまた違う漢方、咳の種類、痰の種類、鼻水のタイプなどによっても薬が変わってきます。

あなたは、あなたが食べたものでつくられる

薬食同源、医食同源という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、英語でも、「You are what you eat」という言葉があります。
直訳すると、「あなたは、あなたが食べたものでつくられる」、そんな感じでしょうか。
普段の食べ物が明日の私たちの体を作り、食べるものによってあなたの健康が左右される、ライフスタイル、人となりが見える、ということだと思います。

医食同源、You are what you eat、食べ物が健康を左右するという考え方は、世界共通のものであるようです。
そして私たちもそれを実感しているはずです。

炭水化物、タンパク質、脂質など、バランスのよい食事をとるということは、
みなさんすでに心がけていらっしゃると思いますが、それにプラスして、
自分の体質や体調と食べ物のバランス、季節と体調と食べ物のバランス、
そういったことを考えながら食事をすると、それはもう薬膳です。
薬膳は、毎日の食事の延長。そして、その漢方薬は、またその延長・・・。

自分の体の基礎を作る食事には薬膳をうまく取り入れ、メンテナンスには漢方を、といった感じで、上手に使い分けていきながら健康を保っていけるといいですね!

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